ロゴ2

地学基礎バナー

<1.大気の大循環>

 

大気の大循環

大気の大循環

 地球規模の大気の大循環は低緯度と高緯度で受ける太陽放射の差によるものである。

 

①低緯度(赤道)地域の大気循環

 赤道付近では気温が高く飽和水蒸気量も多く、積乱雲が発達しやすい。温められた海水は熱を奪って上昇流となり積乱雲が発生する。圏界面付近まで上昇した空気は対流し緯度が20°~30°付近で下降気流となる。そのため、緯度が20°~30°付近では晴天となり砂漠が生じやすい。下降した空気は貿易風となり赤道へ戻る。この循環をハドレー循環という。

 

②中緯度地域の大気循環

 中緯度地域は低緯度地域の熱と極の冷気が地球の自転の影響により入り混じることにより、偏西風が蛇行する。このモデル実験として、極に氷水、赤道にお湯を配置し中緯度地域にアルミ箔の粉末を浮かべ回転させると、10分程度で偏西風が蛇行する様子が伺える。この循環をロスビー循環という。

 

これらの大気循環によって地球規模の大気の大循環が起こっている。

 

 

温帯低気圧と上空の風

温帯低気圧

温帯低気圧

 温帯低気圧は低緯度の熱を高緯度へ運ぶ熱輸送を担う。温暖前線と寒冷前線を伴い、反時計回りに風を吹き込んでいる。温暖前線は前線面に沿って、乱層雲、高層雲、巻雲が生じ、穏やかな雨が長期間続く。また、寒冷前線は前線面が急であり、積乱雲が発達する。そのため、短期間に激しい雨が降る。2つの前線の間には暖気が存在し、そこを通る風は暖かい南風となり、一方、寒気を通る風は冷たい北風として吹き込まれる。日本付近の温帯低気圧は日本列島を横断するように南西から北東へ移動していく。

 

上空の風

 上空の風は気圧の高いところから低いところへ向かう気圧傾度力とコリオリの力(転向力)がつり合って、等圧線に平行な風が吹いている(地衡風)。コリオリの力とは、地球の自転の影響により、北半球では進行方向に対して90°右向きにはたらく力である。コリオリの力の実験装置の上に小球を置くと、すべての小球が進行方向右向きにコリオリの力を受けるため、時計回りに回転する様子が伺える。

 

地上の風と季節風

地上の風

 

地上の風

 地上の風は上空の風とは異なり、地形の起伏(山や丘)、建物などの障害物の影響で、進行方向を妨げる摩擦力が生じる。この力により、風は等圧線に平行にならず、様々な向きの風が生じる。

 

季節風

 季節によって一定の方向から吹いてくる風のことである。日本は冬は北西、夏は南東から季節風が吹く。日本の冬はロシア大陸のシベリア地方で生じるシベリア高気圧が南下し、西高東低の気圧配置を作る。季節風が日本海を渡る際に大量の水分を吸収し、すじ状の雲を形成する。これが、日本の屋根と呼ばれる大山脈を越える際に雲を発生させ日本海側には雪や雨による降水が多くなる。一方、太平洋側は乾いた北風(からっ風)が吹き、乾燥し晴天となる。